近年のマネタイズトレンド

2020年以降のマネタイズトレンドについて

トレンド

ながらく日本のスマホゲームはガチャでキャラクターを入手することがマネタイズのトレンドで、ガチャを引くために課金通貨を販売する動線が主流でした。 そのため、ゲーム内のリアルマネーで購入可能な販売アイテムも課金通貨のみ提供するゲームがマジョリティでした。 しかし、近年商品ラインナップを充実させるような販売スタイルが一般的になってきました。

課金通貨は現金価値の転換先としての調整役に

《商品ラインナップの充実》とは具体的にはどのようなものでしょうか?

  • スタミナ回復アイテム+課金通貨
  • 育成素材+課金通貨
  • SSR確定ガチャチケット+課金通貨

具体的には上記のようなラインナップが増えています。 このような変化の背景にはプレイヤーによりランダム性の低い即時に効果を発揮するベネフィットを提供する思惑が見えます。

しかも、SSR確定ガチャチケットや、かなりゲームの進行を効率化できる育成素材といったものをバンドルした、お得なパック商品をゲームの進行に合わせて時間限定で販売することで、課金欲を高めつつプレイヤーの満足度を高めています。 ここでミソとなっているのが課金通貨がバンドルに含まれていることです。

スタミナ回復アイテム、育成素材、ガチャチケット いずれもプレイヤーが利用するまで、即時に効果を発揮しない性質のあるアイテムをバンドルしています。 資金決済法の前払い支払い手段では、即時効果を発揮しないゲーム内アイテムは価値の転換をおこない、サービス終了時に返金ができるよう厳密な残高管理や供託を求められます。

しかし、課金通貨の単体販売の横にバンドル販売をして、金額と課金通貨の付与数のバランスを一致させることによって 「スタミナ回復アイテム、育成素材、ガチャチケット といったアイテムはおまけで、金銭的な価値はありません」という建て付けをすることができます。 この建て付けによって、ハンドルするアイテムの効果発揮タイミングについて考慮せず、柔軟にバンドルするアイテムを決めることができるようになりました。

プレイヤーの体感の変化

バンドル販売が増えてくると、課金通貨の見え方が変わってきます。 私個人の経験として、資金決済法の法解釈とは逆に課金通貨がおまけに感じてきます。 欲しいゲーム内アイテムを含むバンドルパックを購入していると、だんだん課金通貨が溜まっていく感覚になります。

「欲しいものを買っていたら課金通貨が溜まってきたので、ガチャを回そう」という気持ちでガチャを回していると、SSRが出なくても心理的なダメージが少なくなった気がします。 これはプレイヤーの満足度の向上・エンゲージメントを長期化する上で、別の効果があるかもしれません。

課金圧

時間限定販売はプレイヤーにとっては課金圧と受け取られます。 出現頻度に注意を払いつつ、実施することが大切です。

ジャムの法則に気をつけよう

ここで気をつけなければならないのは「ジャムの法則」というマーケティング理論です。 消費者は選択肢が多くなればなるほど購買意欲が下がってしまうという法則です。

なんでもバンドルできるようになったので、プレイヤーが欲しくなる可能性がある様々なアイテムをバンドルしたパック商品を大量に用意すると逆効果になるかもしれません。

免責事項

この記事で触れた資金決済法の法解釈について GS2 は責任を負いません。 正式な法解釈については顧問弁護士に確認するようにしてください。

2023-10-06 Kazutomo Niwa