ガチャを軸としたメタゲームとは

日本で生まれたガチャを軸としたメタゲームについて

ゲームサイクル

graph TD
  MainGame["メインゲーム"] -- もっと強くなりたい --> Enhance["キャラクターの育成"]
  MainGame["メインゲーム"] -- 有利な属性のキャラクターが欲しい --> Gacha["ガチャ"]
  Gacha -- 手に入れたキャラクターを育成したい --> Enhance
  Enhance -- キャラクターを育成した成果を見たい --> MainGame

これが日本式メタゲームのサイクルです。

読み解けばわかりますが、全ての起点となっているのがガチャです。 クエストのエネミー特性に対して有利なキャラクターをガチャで入手し、 入手したキャラクターを育成して、高難度のクエストをクリアしていくゲームサイクルになっています。

あなたがお金儲けをするつもりがなく、プレイヤーのエンゲージメントを最大化したいだけであれば、キャラクターの出所はガチャでなくても構いません。 メインゲームの報酬(シナリオの進行でキャラクターが加入など)としてもいいでしょう。

このゲームサイクルには以下のポイントでプレイヤーに満足を与えています。

graph TD
  MainGame["メインゲーム"] --> Enhance["キャラクターの育成"]
  MainGame["メインゲーム"] --> Gacha["ガチャ"]
  Gacha -- レアキャラクターを手に入れた --> Enhance
  Enhance -- クリアできなかったクエストをクリアできた --> MainGame

このゲームサイクルの本質はガチャではなく、キャラクターの育成を数週間〜数ヶ月かけて行い その成長にあわせてメインゲームが少しずつ進めるようになるという、じっくり遊ぶゲームサイクルを実現していることです。

ただし、マネタイズを考えた場合 現在のガチャ の位置は効果的な位置にあるということも同時に理解するべきです。

キャラクターの育成

さて、キャラクターを育成するゲームデザインについて、もう少し掘り下げてみましょう。 単純に「育成」といっても、その実現方法は様々なアプローチが存在しています。

レベル

もっともわかりやすい成長要素としてキャラクターのレベルがあります。 キャラクターをパーティに編成してメインゲームをプレイすることで、少しずつ経験値を獲得してレベルが上がっていきます。

ガチャの存在するゲームの特徴として、不要なキャラクターが増え続けるという問題があります。 この問題を解決するために、不要なキャラクターを素材としてキャラクターに合成することで経験値を得られる仕組みを提供することも一般的に行われています。 むしろ、成長の手段としてはメインゲームを遊んで経験値を稼ぐより、この合成によって経験値を稼ぐ方が効率的に行え、プレイヤーも成長のためにはメインゲームを遊ぶより合成の方が合理的と考えてプレイしてます。

レベルキャップ

キャラクターにはレベルキャップが定義されています。 一般的に、ガチャから排出率が低いキャラクターほどレベルキャップが高く設定されています。

しかし、ゲームによっては低レアリティキャラクターは初期のレベルキャップが低いだけで、レベルキャップを引き上げていけば高レアリティキャラと同じレベルまで引き上げることができるようになっているものもあります。 このあたりの設計は、ゲームデザイナーの腕の見せ所だと思います。

具体的なレベルキャップの引き上げ方法は、同じキャラクターの合成や強化素材の合成で実現するのが一般的です。

前者は経済的な努力、後者は時間的な努力で実現すると捉えれば、どのようにプレイヤーに報いていくのか方針が立てやすいかもしれません。

同じキャラクターの合成

ガチャでは、どうしても既に入手済みのキャラクターを再度入手してしまう状況になってしまいます。 すでに入手しているキャラクターがガチャから排出された場合の使い道として、キャラクターのレベルキャップの引き上げができることが一般的です。

同じキャラクターを合成することで、レベルキャップを10引き上げられることで、そのキャラクターはより強くなれる ということです。 多くのゲームで、レベルキャップの引き上げは5段階ほど用意されています。

強化素材の合成

クエストを攻略した際に確率的にドロップする強化素材を使用してレベルキャップを引き上げられるようにするのも一般的に行われています。

レベルキャップを引き上げていくことに高難度のクエストでしかドロップしなかったり、ドロップする確率が低い素材を必要とするデザインが行われます。

キャラクターの特性

キャラクターには様々な特性を用意します。 様々な個性的なキャラクターを提供し、プレイヤーにどのキャラクターを今育成するべきか判断させるのも一つの遊びです。

属性

わかりやすい例では 地水火風 のような属性です。 火属性の敵が出現するクエストには水属性のキャラクターをパーティに編成してプレイする方が有利 となれば、水属性のキャラクターを必要とするプレイヤーが増えるでしょう。

ロール

次にわかりやすいのは、攻撃役・回復役・盾役のようなロールでしょう。 パーティを編成するにあたって、属性だけでなくロールも考慮して編成することでゲームに深みが出ます。

スキル

次にスキルです。 回復役 といってもそのスキルの設計は大きく3種類あります。

  • 即時回復
  • 徐々に回復
  • バリア

回復スキルを使った瞬間に回復できるタイプの回復役は使い勝手がいいでしょう。

徐々に回復するが総回復量は即時回復のヒーラーより多いようなスキルも、使用するタイミングは難しいかもしれないが、ゲーム性を底上げしてくれそうです。

バリアも面白いですね。ダメージ自体を受けないようにバリアを切らさないように運用するテクニカルなプレイができそうです。

キャラクター以外の育成要素

キャラクターだけでなく、装備もガチャで提供することも一般的におこなわれています。 当然、装備にもレベルが用意され、キャラクターと同じように育成できるようにしています。

様々な育成要素があることで、マネタイズの観点では有効となりますが、 あまりに多すぎるとプレイヤーに見透かされてしまいます。バランスをとることも重要です。

ガチャが生み出すパーティ編成のゲーム性

ガチャでキャラクターを入手するようなゲームサイクルにすると、面白い副作用が発生します。

全員が同じ手札を持つことはありませんので、自分の持つ手札の中でこれからチャレンジするクエストにとって最適なパーティ編成はなんなのか。

トレーディングカードゲームのデッキ編成のような遊びをプレイヤーに提供できます。

お金を払わないとゲームを楽しめないのか

日本式メタゲームのゲームをプレイした経験の少ない開発者からよく受ける質問です。

当然、自由にパーティ編成できないので、お金を払っているプレイヤーよりは楽しみの幅は狭くなります。 しかし、ゲームの運営方針として、どんどんプレイヤーに無料でガチャを回させることでこの問題に対処しています。

ゲームを始めた瞬間に30回(1万円相当)くらい無料でガチャを引かせるのも一般的に行われますし、イベント期間中毎日1回無料でガチャを引けるようにすることでエンゲージメントを高めることも一般的に行われています。 あとはクエストの進行に合わせて、ガチャを引くために必要なゲーム内通貨をプレゼントするのも一般的です。

大体1ヶ月間毎日プレイすれば、無課金のプレイヤーでも20回〜30回ほどガチャが引けるゲームが多いです。

私が知る限り最も大盤振る舞いしているゲームは グランブルーファンタジー ですが、このゲームは定期的に毎日10回〜100回ランダムで無料でガチャが引けるルーレットイベントを開催しています。

また、ゲームのメインストーリーを進める分には高レアリティキャラクターは数体いれば十分で、 高難度のエンドコンテンツを遊ぶような熱心なプレイヤーには、高レアリティキャラクターで編成したパーティを求めるようなゲームデザインを行うことで無課金でも十分楽しめるゲームを提供できます。

無課金のプレイヤーを増やす意味とは?

これは多くの人が疑問に思うかもしれません。

無課金プレイヤーからは一定の割合で課金プレイヤーが誕生します。 無課金プレイヤーを増やさなければ、課金プレイヤーも増えることはありません。その先にあるのはプレイヤー人口の縮小です。

長期運営型ゲームでは、どれだけエンゲージメントを高める取り組みをしても、プレイヤーが抜けていくことはおこります。 そのため、新規プレイヤーを呼び込み、プレイヤー人口を最大化し、少しでもエンドコンテンツを遊ぶようなプレイヤーを増やしていくことに大きな意味があります。

ゲーム売り上げの目標値は?

これはビジネスの方針や、地域の経済力によって大きく左右される部分ではありますが、 一般的に日本では ゲームプレイヤー1人に対して1ヶ月あたり1,000円の売り上げを見込んで設計しています(ARPU 1,000円)

このゲームプレイヤー1人 というのは無課金プレイヤーも含んだ数字です。 つまり、多くの支出をしているプレイヤーはその何倍も支払っているということになります。

ゲームデザインをする際には、1ヶ月10万円支払うような高額課金プレイヤーが存在することも念頭において、デザインすることも重要です。

原神はリリースから 27ヶ月で 5,000億円 売り上げています。 これを ARPU 1000円 と考えると、月平均1850万人がプレイしていると捉えることができます。 スマートフォンだけでも1.1億回以上ダウンロードされているようですので、現実的なラインですね。 (それにしても凄まじいプレイヤー数だ…)

2023-02-11 Kazutomo Niwa


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