コンテンツ不足
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事例
あるスマートフォン向けゲームは、家庭用ゲーム機向けのゲームを移植して作ることにしましt。 家庭用ゲームに収録されたミニゲームをメインコンテンツとし、追加コンテンツとしてミニゲームを販売する形でリリースされました。
家庭用ゲームには50を超えるミニゲームがありましたが、ローンチ時点ではそこから5種類が選別され、そのうち2個を無料で遊べるようにしました。
ミニゲームは1種類500円相当のゲーム内通貨で販売されます。
しかし、ローンチ直後からサーバー障害が続き、プレイヤーにお詫びとして100円分のゲーム内通貨の配布を繰り返すことになります。
そして、5回目の障害の時、開発者は大きな決断を迫られます。
ここで100円分の課金通貨を配ってしまうと「3個しかない追加コンテンツのうち1つを無償で入手できるプレイヤーが大量に出てしまう」
お詫びの額を引き下げようにも課金通貨の単位は100円=1個のため、引き下げることも難しいです。
そこで、開発者は障害に対してお詫びをすることをやめ、そのまま何事もなかったかのように振舞いました。
障害が落ち着いたころには、プレイヤーは離れ、残っていたプレイヤーも初期に実装されていたミニゲーム以降追加されないことから飽きて離れて行きました。
振り返り
さて、今回の事例の問題はいろいろありそうです。
メタゲームの理解不足
まずメタゲームを正しく理解していないことです。メインゲームの分割販売であれば、運営型ゲームの装いをする必要がありません。
メインコンテンツの追加には時間がかかる
コンテンツの追加=メインゲームの追加となり、コンテンツの追加に時間とコストがかかり過ぎます。
結果として、1ヶ月に数回ゲーム内に変化が欲しい運営型ゲームですが、コンテンツの追加に1ヶ月以上かかるため変化を起こすことができませんでした。
毎日することがない
メインゲームをエンハンスするため、毎日こつこつ遊ぶゲームサイクルを用意していないため、メインゲームに飽きたらゲームは終了です。
肝心のメインゲームもミニゲームですので、これではプレイヤーは1週間もてばいい方でしょう。
まさにバケツに穴が空いている状態です。このままプロモーションをしてプレイヤーを集めても未来がありません。
課金通貨の単位設定
他にも課金通貨の単位の決め方もまずかったようです。
一般的に 1円=1通貨 や 2円=1通貨 に設定するところを、100円=1通貨 としてしまったことで、 プレイヤーにお詫びの課金通貨を配布するビジネス的な判断をより難しいものにしてしまいました。
課金額の上限が設定されている
500円 のコンテンツが3種類では 1500円 が1人のプレイヤーから得られる売り上げの上限です。
ゲームプレイヤーのうち課金してくれるプレイヤーの割合を5%とし、平均1.5個の追加コンテンツを購入してくれたとしましょう。 すると、1万人がプレイしてくれたとして、課金してくれるのは500人、平均750円分コンテンツを購入してくれたとして、月間の売り上げは350万円になります。 追加コンテンツを開発するための開発チームを維持するために月1000万円が必要だとしたら、毎月3万人に新しく遊んでもらう必要があります。
新規で3万人のプレイヤーを得るにはそれなりにPRしなければなりませんので、このゲームはローンチする前から儲からないことが見えています。